金融庁に要請を行なう全国金融共闘
全国金融共闘は4月18日、金融共闘統一行動に取り組み、午後2時から金融庁への要請を行ないました。金融庁への要請では、事前に提出した要請書に対して金融庁の回答を受け、要請に参加した加盟単産から職場の実態を訴えました。
要請書では金融自由化が金融再編を加速させ過当競争のもとで顧客と従業員が犠牲になっていると分析し、6項目について見解を求め、金融機関への指導を要請しました。(要請書を開く)
回答の中で、金融庁は地域金融機関が地域の社会インフラであり資金繰りにとどまらない支援が求められる、店舗の統廃合などは経営効率化の観点から最適な人員配置が検討されていると承知している、店舗廃止等の届け出には廃止されても従来同様のサービスが受けられるかという観点で資料の提出を求めているなどと回答しました。
金融リスク商品のノルマ販売については、顧客本位の業務運営の原則の下で信用失墜につながるノルマ販売は行わないとこととし、説明責任義務や適合性原則の遵守を確認し、従業員の報酬制度や研修、ガバナンスの体制を重視していると回答。金融リスク商品の販売において顧客の利益に反して販売手数料の高い商品販売に傾注などはあってはならないとしました。
金融機関が各種の手数料を設定していることについては、手数料の設定は各金融機関の経営判断であり持続可能なビジネスモデルを検討し適切に設定されているものと考えると回答しました。
以上の回答を受けて金融共闘浦上議長から、職場の要員不足は非常に深刻で、非常に密度の高い業務を人が減らされた中での処理を余儀なくされていると説明。そうした状況の中で働く者は、その業務が本当にお客さんのためになっているのか疑問を抱いて働いている。モニタリングを実施されているという回答であったが、本当に適正な人員配置がされているのか実態の把握を要請しました。
また、店舗が廃止になる場合は従来と同様のサービスを受けられるかどうか確認するという説明であったが、例えば現在進められているブランチ・イン・ブランチ方式の統合においても、地域の顧客は従来と同様のサービスが受けられると認識されているのか問いただしました。
金融労連関東地協の代表は、地域金融機関は地域企業の育成を求められているが、職場の人員が減って店舗が統廃合されると来店していただくのにも、お客さんを訪問するのにも時間がかかってしまうことになる。店舗を統廃合してサービスの質を維持していけるのかを考えるべきだと質しました。
金融労連近畿地協の代表からは、勤務する金融機関が合併されて職員は従前の半数以下になり、店舗の統廃合も進み各営業エリアには母店があり周辺に従業員3人程度の店舗が配置されるが、その3人店舗が女性ばかりだったりすると防犯上の不安があると訴えました。
この訴えに続けて金融共闘の浦上議長は、人が足りないと職員同士で教え合うこともできない状態になる。若い職員は先輩たちが忙しいので必要なことも聞くことができず、分からないままトラブルになってしまいそれが退職につながっていると指摘し、本当にお客さんのニーズに対応した人材育成の体制になっていないのではないかと追及しました。
研修に関連して全損保の代表から、損保産業は不祥事があり社会的に制裁を受け、それに対応した不祥事防止の研修が行われているが、これは不祥事の責任を従業員に転嫁しているのではないかという声が出ていると訴えました。これに対して金融庁は不祥事の責任は経営者にあるという前提で業務改善命令など処分を出していると説明し、その上で今いただいたご意見をふまえて対処していきたいと回答しました。
店舗の統廃合に関連して全農協労連の代表から、店舗の統廃合が進んでも従前と同様のサービスが維持できるのかという観点で監督指導しているという回答があったが、実際には従前と同様のサービスはできないと考えるべきだと指摘し、店舗が統廃合されて地域から金融機関窓口がなくなってしまうと、地域住民の生活権、生存権が制約されてしまうことになると訴えました。
また、金融労連の代表からは、日銀の金融政策がゼロ金利から転換された結果、各金融機関が預金獲得に力を入れ始めたことについて、ゼロ金利の時代には収益力を追求し店舗の統廃合、人員削減で収益力を維持してきたが、これから預金獲得競争に入っていくと営業店の負担が増えてくる、しかし対応する人を増やすのには時間がかかり従業員の負担がさらに増えていくことが懸念されると指摘し、適切な監督指導を求めました。
最後に、金融労連の代表から年末の金融機関一斉休日化実現についての要請が出されて終了しました。