中小企業庁へ要請を行なった全信保労連要請団
4月18日に取り組まれた金融共闘統一行動で、全国信用保証協会労働組合連合会(全信保労連)は、中小企業庁への要請行動を行いました。要請は以下のように、事前に提出した要請書に基づいて項目ごとに全信保労連が要請を行い、中小企業庁が回答しました。
要請で全信保労連は、コロナ禍においてコロナ関連保証制度等を活用し、セーフティネット機能を最大限発揮し、コロナ禍支援後にも中小企業者を支援すべく、伴走支援型特別保証制度の活用等により中小企業者に寄り添ってきたことを訴え、中小企業庁の見解を質しました。
中小企業庁は、コロナ禍においてご苦労をいただき大変感謝していると回答し、さらに、コロナ禍から正常化する中で中小企業者の経営改善、事業再生、再チャレンジなど事業者に寄り添った支援が必要になるとし「既に取り組まれていると認識しているが、さらに取り組んでいただきたい」と回答しました。
また全信保労連は、原材料価格高騰の影響や、米国の関税措置等により中小企業者の経営環境は不安定な状況が続いていると指摘し、今後も必要十分な財政措置を要請。さらにコロナ禍以降、代位弁済(保証債務の肩代わり弁済)が増加傾向にあり、日本政策金融公庫の保険収支悪化が懸念されるとして「一定期間における一部数値の悪化のみをもって外部からの批判が生じないよう関係各所への周知」を要請しました。
中小企業庁は「危機時に代位弁済が増加することは十分認識していてその実態は関係方面に周知している。危機時の代位弁済増加への対応も十分に確保していきたい」と回答しました。
次に全信保労連から、保証協会が「プッシュ型支援」などに邁進し、令和6年6月の監督指針改正も受け、支援体制の改善に注力しているが、信用保証協会の経営支援に対する中小企業庁の評価、今後信用保証協会に求めていることについて説明を求め、さらに、経営支援業務を継続していく上での予算確保を要請しました。
これに対して中小企業庁は「経営支援に取り組んでいただき感謝しています」と謝意を表明し、経営支援の予算は十分確保していきたいと回答。その上で保証協会が地域の実情に応じて、商工会議所と連携して相談窓口を開設する、あるいは中小事業者の収支のシートを工夫するなど創意工夫で取り組まれていることも認識しているなど回答しました。
全信保労連は、倒産・廃業件数や代位弁済の増加も踏まえると、再生・再挑戦に向けた中小企業者の金融支援において信用保証協会の存在感はますます増していくと思われると指摘し、中小企業の再生・再挑戦支援の一層の推進について中小企業庁の見解を質しました。
中小企業庁は、物価高、人手不足などから倒産が増え事業再生、再チャレンジが大きな課題になっていることは認識しているとして、保証協会の皆さんのご協力をお願いしたい、そのためのツールも準備しているので活用してほしいと回答しました。
全信保労連は信用保証協会が「スタートアップ創出促進保証」や「事業者選択型経営者保証非提供制度」等により経営者保証に依存しない融資慣行の確立に注力しているとし、経営者保証に依存しない融資慣行の確立に向けて信用保証協会の役割について見解を質しました。その上で、経営者保証への対応は地域毎に要因が様々となっているとして、単純な数値のみでの比較・議論とならないことを関係各所への周知を要請しました。
中小企業庁は、経営者保証に依存しない融資慣行については保証協会の支援先の実情により経営者保証を外すのが難しいところもあると認識しているがいろいろなノウハウを活用していただきたいと回答しました。
全信保労連は信用保証協会の天下り人事を抑制することは、信用保証制度の健全な運営に不可欠であるとして、天下り人事が継続するのは好ましくないと訴え、引き続き中小企業庁の指導を要請しました。中小企業庁からは、保証協会の人事は透明性の確保が社会的にも注目されると確認し、地方自治体等とも意見交換も行う中で対応していきたいと回答しました。
最後に、全信保労連は、今後の中小企業施策における信用保証協会の位置付けや、新制度の活用等において期待される役割について中小企業庁の見解を質しました。これに対して中小企業庁は、経営環境が変化する中で地域と密接に関わってきた保証協会は地域のハブとしての役割を担っていただいていると謝意を表し、行政としても必要に応じて制度を打ち出し新たなツールを更新していくので活用していただき、中小業者に寄り添った支援を進めていただきたいと応じました。
要請は最後に全信保労連を代表して佐藤裕昭執行委員長があいさつをして終了しました。